「はるヲうるひと」が1位に選ばれたことを、僕は本作の撮影をした神田創氏からのメールで知ったのですが、彼いわく、「このランキングをつけたトレル・アダム氏は海外に良質な日本映画を紹介し続けている人で、日本映画に対して、厳しくも愛のある人」とのこと。本当に光栄だし嬉しいし、なので皆さんにも紹介した次第っす。

 また、韓国の江陵国際映画祭では最優秀脚本賞を獲りました。日本で俳優としてもらった賞が「NG大賞」だけだった僕が、まさか異国の地、しかも映画大国の韓国で、最優秀脚本賞を頂けるとは思ってもみませんでした。俳優なのに「書く」欲求を捨てられずにきた僕ですが、「お前は書いていい人間だ」と背中を押してくれた何人かのプロデューサーや演出家に、少しでも報いられた気がします。

 さらにポーランドのワルシャワ映画祭の1-2コンペティション部門(長編監督2作目までの部門)に選出されました。僕も現地に行き、ワルシャワの劇場でポーランドのお客さんと一緒に観たのですが、本当にビックリするくらい、笑う場面では声を出してゲラゲラ笑うんです(実は本作、笑えるところもあるんです)。「笑い」こそ海を越えるのは難しいと思っていたので、狙ったシーンでほぼ百パーセント笑いが起きたのは驚きと共に貴重な体験でした。

 いやあ、宣伝一色、ごめんなさい。「さた」とか「さつ」とか「もくもくにん」とかふざけてたのが遠い昔のように感じますが、とにかく、公開したばかりの映画「はるヲうるひと」に関して僕が言いたいことは1つだけ。

 観れ。

■佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や「幼獣マメシバ」シリーズで芝二郎役など個性的な役で人気を集める。ツイッターの投稿をまとめた著書『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)のほか、96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がける。原作・脚本・監督の映画「はるヲうるひと」(主演・山田孝之)が全国公開中。

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佐藤二朗

佐藤二朗

佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家、映画監督。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や映画「幼獣マメシバ」シリーズの芝二郎役など個性的な役で人気を集める。著書にツイッターの投稿をまとめた『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)などがある。96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がけ、原作・脚本・監督の映画「はるヲうるひと」(主演・山田孝之)がBD&DVD発売中。また、主演映画「さがす」が公開中。

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