レトルトの幼児食が悪いわけではありません。相談者さんは父親として、妻の立場、あるいは2歳2カ月の息子さんの立場になって「今、2人が本当に必要としているものはなにか」と考えをめぐらせなければならないのです。冒頭でも述べましたが、料理を担うなど、2人のためにできることがあるはずです。

 このような「忠恕」の力は、仕事面にも応用して使うことができるようになるのではないでしょうか。そもそも、料理というのは楽しいものです。段取りを試行錯誤するなかで、どれだけ無駄をなくすかを考えますし、テキパキと次の作業に取り組んでいると、頭も冴えてきます。父親の家事の「自立」は、生活も仕事も質を上げることにつながるでしょう。応援しています。

【まとめ】
不平不満を言うのではなく、妻と息子さんが今何を欲しているか、相手の立場になって思いやろう

山口謠司(やまぐち・ようじ)/中国文献学者。大東文化大学教授。1963年、長崎県生まれ。同大学大学院、英ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経て、現職。NHK番組「チコちゃんに叱られる!」やラジオ番組での簡潔かつユーモラスな解説が人気を集める。2017年、著書『日本語を作った男 上田万年とその時代』で第29回和辻哲郎文化賞受賞。著書や監修に『ステップアップ  0歳音読』(さくら舎)『眠れなくなるほど面白い 図解論語』(日本文芸社)など多数。母親向けの論語講座も。フランス人の妻と、大学生の息子の3人家族。

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山口謠司
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山口謠司(やまぐち・ようじ)/文献学者・中国学者。大東文化大学教授。1963年、長崎県生まれ。同大学大学院、英ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経て、現職。NHK番組「チコちゃんに叱られる!」やラジオ番組での簡潔かつユーモラスな解説が人気を集める。2017年、著書『日本語を作った男 上田万年とその時代』で第29回和辻哲郎文化賞。『ステップアップ0歳音読』(さくら舎)『眠れなくなるほど面白い 図解論語』(日本文芸社)など著書多数。母親向けの論語講座も開催。フランス人の妻と、大学生の息子の3人家族

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