「マウンド上では闘争心剥き出しで打者に向かっていく。でも打席内などでは普段の大瀬良になってしまうことがある。藤浪晋太郎(阪神)に当てられた時はそうだった。黒田博樹(元広島)は打席でもマウンド同様、鬼の形相を見せたりした。そこが大地との大きな違いですね」(広島関係者)

 17年8月16日(京セラドーム)、大瀬良は藤浪から肩口に死球を受けたが、笑顔で「大丈夫」であると“神対応”。当時の藤浪は制球難が指摘されるなど苦しんでいる時期で、同じ投手としての優しさが出てしまったのかもしれない。

「藤浪の時は気を使ったのでしょう。根本的に優しくて根が良い奴。例えば、話を聞きたくて待っていると必ず対応してくれる。他の記者と話しながら、誰が待っているかを確認している。話したくなければ通り過ぎれば良いのですが、それができないのかな。気を使い過ぎに感じる時もある」(広島担当記者)

 関係者、ファンそしてマスコミなど関わった人すべてに「いい人」と評される大瀬良。「プロ選手はロールモデル(社会的規範)であれ」を体現している選手の1人だ。しかし良い人だけでは、プロで名選手になれないのも確かだ。

「取材する立場で余計なお世話ですが、気配りが心配になるほど。もう少しわがままなくらいになれば、さらに大きな投手になるのでは。でもこういう選手は貴重だしマスコミの中にもファンは多い」(広島担当記者)

 野球界では信じられないようなモラル、ルール違反を犯す選手も時に出てしまう。そんな中での貴重な存在が大瀬良であり、極端に言えば「プロ野球界の良心」だ。これからもずっと応援したい選手である。今シーズン終了後には国内FA権を保有してオフを迎えるだけに、野球の方でもより一層注目したい存在。愛するファンのいる広島に残留するかも気になるところだ。