水野美紀さん
水野美紀さん

イラスト:唐橋充
イラスト:唐橋充

 42歳での電撃結婚。そして伝説の高齢出産から3年。母として、女優として、ますますパワーアップした水野美紀さんの連載「子育て女優の繁忙記『続・余力ゼロで生きてます』」。今回は、野菜を驚くべき美味しさに焼き上げてくれる「魚焼きグリル」の魅力について。

【買い物をする母は大変だ。一方父は…唐橋さんのイラストはこちら】

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 5月は嵐のように過ぎていった。

 ドラマの撮影はひと段落。仕事としてはインプットに充てる時期。読み物や書き物、調べ物。もろもろの準備。しかし、ママ仕事はフル稼働。

 幼稚園は本来ならばお弁当持たせて登園させ、16時に迎えにいくスケジュールを立てていたが、緊急事態宣言のため午前中で終わり。

 9時に登園させたら12時前には迎えに行くことに。送って帰宅して洗濯やら掃除やら書類整理したらもうお迎えだ。

 予定が大幅に狂い、とにかくママチャリであちこち奔走した。

 毎日3食作る日が多かったので、食材の買い出しも日課だ。

 リトミック教室の近くに、変わり種の野菜を揃える八百屋があって、覗いてみたら、魅力的だけどどう料理すればいいか分からない野菜がたくさん。

 魅力的な食材を、調理法を知らないせいでスルーするのって、なんか悔しくないですか?

 野菜に限らず、大安売りのお得な魚とか、「わざわざレシピ検索するのめんどくさいなあ」と、結局使い慣れた食材を手にすると、なんか負けた気がしてしまうのは私だけですか?

 最近でいえば、新鮮な鮎。

 家で鮎を焼いたことがないのでめちゃくちゃ美味しそうだったし安かったけどスルーした。

 なぜなら、スルーするよりも悔しいことは、買って、調理して失敗して家族にも食べてもらえず無駄になること。

 それ以上に悔しいことは、調理のタイミングを逃して冷蔵庫の中で古くなってしまうこと。

 買い物をする時、

「この食材をいつ、どう料理するか」
「料理する際に必要な他の食材と調味料はちゃんと揃っているか」
「いつまでに使い切れるか」
「腐らせることになりはしないか」
「副菜は何にするか」
「汁物はどうするか」
「バランスはどうか」
「これを我が子は食べてくれるか」

 これらを同時に考えながら、条件をクリアしたものをカゴに入れていくのだ。

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水野美紀

水野美紀

水野美紀(みずの・みき)1974年、三重県出身。女優。1987年にデビュー。以後、フジテレビ系ドラマ・映画『踊る大捜査線』シリーズをはじめ、映画、テレビドラマ、CMなど、数多くの作品に出演。最近では、舞台やエッセイの執筆を手掛けるなど、活動の幅を広げている。2016年に結婚、2017年に第一子の出産を発表した

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