親の役割が大きい中学受験。志望校の合格に近づくため、多くの親があらゆる方法で情報を探します。しかし、「すべての情報が我が子にマッチするわけではない」という視点を常に持つべきとプロ家庭教師「名門指導会」代表・塾ソムリエである西村則康先生は指摘します。ママ友やブログ情報に惑われて後悔した、という受験経験家庭の実例から、他者の情報との付き合い方を探りました。

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■同性の子を持つ受験組ママ友とは距離を置くべきだった

 初めての塾の保護者会で、同じ小学校に通っているママ友と顔を合わせたAさん。他は知らないお母さんたちばかりだったせいもあり、唯一知った顔をみて心強く感じ、「情報交換もできるし…」という気軽な思いから、LINEアドレスを交換したといいます。

 小4、5の時には、近隣の学校の文化祭や説明会などにも一緒に参加。特に問題なく過ごしていましたが、6年生になると、「クラスが上がったの!」「模試判定がギリギリセーフだった」などと相手の好調ぶりがわかるメールが来ることを、徐々に鬱陶しく感じるようになっていきました。

 塾の帰り時間が遅くなると車で迎えに行くことが多くなり、娘がその友だちを「一緒に乗って行く?」と屈託もなく誘うので、家まで送ることもしばしば。

「数十分ではありましたが、帰宅時間のロスが気になりました。とはいえ、娘に『誘うのをやめなさい』というのもためらわれて。モヤモヤした気持ちは増すばかりでした」(Aさん)

 そして受験を決める段になり、「むこうの子が受かってこちらが落ちる」という状況を避けたいという思いが強くなり、チャレンジを避けた学校がありました。わが子の進路に影響を及ぼしてしまったことをAさんは「後悔している」と言います。

「ママ友がいれば情報収集ができるという思いでしたが、実際には塾の先生に聞けばわかることがほとんど。ザワザワしたぶん、最初からママ友とは距離をとっておけばよかった、と思います」(Aさん)

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鶴島よしみ
スローマリッジ取材班 鶴島よしみ

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