八王子・羽田慎之介(写真提供・プロアマ野球研究所 PABB)
八王子・羽田慎之介(写真提供・プロアマ野球研究所 PABB)

 高校野球の春季大会も残すは今週末に行われる北信越大会と中国大会となり、今月下旬にはいよいよ夏の甲子園出場をかけた地方大会もスタートする。高校生のドラフト候補にとっては最後のアピールの場になるが、例年夏に一気に評価を上げる選手も少なくない。そこで今回はそんなドラフト戦線への急浮上が期待される高校生をピックアップして紹介したいと思う。

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 投手でまず面白い存在になりそうなのが191cmの大型サウスポー羽田慎之介(八王子)だ。昨年秋からエースとなり、都大会では準々決勝進出を果たしたが肘を痛めた影響もあって敗れた関東一との試合では登板を回避。この春も故障からの回復途上で、わずか2試合、それぞれ1イニングずつの登板に終わったが、それでも羽田のピッチングを見ようと八王子の試合には多くのスカウトが集結していた。

 筆者が見たのは都大会初戦の小平西戦だったが、8点リードの7回にマウンドに上がると、三者連続三振という圧巻のピッチングで試合を締めてみせた(7回コールド)。フォームはサイドに近いスリークォーターが特徴的で、雰囲気的には往年の名投手ランディ・ジョンソン(元マリナーズなど)を彷彿とさせるものがある。小平西戦での最速は146キロだったが、まだまだ腕の振りには余力があるように感じられ、近い将来軽く150キロを超えそうな雰囲気があった。

 コントロールはまだまだアバウトだが、ストライクをとるのに苦労するというほど荒れているわけではない。未完の大器に分類されるタイプだが、フォームのバランスも決して悪くなく、何よりもそのスケールの大きさは魅力である。春はイニング数が短かっただけに、夏は長いイニングで本領を発揮してくれることを期待したい。

 同じサウスポーでもう一人面白い存在になりそうなのが久野悠斗(報徳学園)だ。こちらも186cmの長身だが羽田とは対象的で、持ち味はその高い制球力にある。兵庫県大会の初戦となった柏原戦では被安打5、11奪三振完封という見事なピッチングを見せたが、与えた四死球は0で球数もわずかに105という数字にコントロールの良さが表れていると言えるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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