また同インタビューでは、大きな表現や声を出さなくてはいけないイメージのある舞台での芝居も、「ときにはお客さんに聞こえなくてもいいんじゃないか」と思うそうで、わざと小さい声を出すということにチャレンジすることもあると明かした。そんな自身を俳優のタイプでいうと“あまのじゃく”だと表現していた。

「先輩俳優の緒形直人さんは、永山さんを『高倉健さんのようだ』と絶賛しています。2人は19年に時代劇『闇の歯車』で共演していますが、主演だった永山さんについて『いつも自然体で着流しもかつらも似合う。目がいいし、肝が据わっていて、色気もある。若かりしころの高倉健さんのようだった』とベタ褒めしていました。同じく共演した大先輩・橋爪功さんも『普通じゃないところから芝居が出てくるので、どんな役をやっても違う役をやりそうな楽しみがある』と賛辞を贈っていました」(前出・編集者)

■田村正和さんからもらった言葉

 このように先輩俳優たちからも期待が大きい永山。先日、突然の訃報が届いた田村正和さんとは、永山のドラマデビュー作「さよなら小津先生」(フジテレビ系・01年)で共演しているが、同作の打ち上げの時に「君はとにかく俳優を続けなさい」と田村から言葉をかけられたことを自身のインスタグラムで明かした。そして「正和さんの、御言葉、胸に刻み、俳優人生、続けていきます。御冥福をお祈りします」と、追悼の言葉をつづった。

 ドラマウオッチャーの中村裕一氏は、そんな永山の魅力についてこう分析する。

「俳優デビューは2001年ですが、一般的に世間の注目をグッと集めたのは2006年の『アンフェア』でしょう。篠原涼子演じる主人公の刑事の相棒で、ストーリー上の大きなカギを握る役を見事に演じ、俳優としての存在感をお茶の間に強烈にアピールしました。その後も『のだめカンタービレ』『篤姫』『ラスト・フレンズ』など立て続けにヒット作に出演し、その人気を不動のものにしました。どちらかというとナイーブで穏やかなイメージがあったと思いますが、『リコカツ』ではそれを完全に払拭。2020年に公開された長渕剛主演の映画『太陽の家』で演じた大工役、1月に放送されたスペシャルドラマ『ライジング若冲 天才 かく覚醒せり』の僧侶役もなかなかインパクトがありましたが、それを上回る衝撃です。役の幅をさらに大きく拡大中であることは間違いありません」

 EITAから瑛太、そして本名の永山瑛太と改名を重ね、陰のあるキャラからコメディー、時代劇までさまざまな役柄をこなしてきた永山。21年は間違いなく転機の年となる。(高梨歩)

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高梨歩

高梨歩

女性ファッション誌の編集者など経てフリーライターに。芸能やファッション、海外セレブ、育児関連まで、幅広いジャンルを手掛ける。活動歴は約20年。相撲フリークの一面も。

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