加藤勝信官房長官(C)朝日新聞社
加藤勝信官房長官(C)朝日新聞社

 東京五輪の公式ホームページ上における竹島(韓国名・独島)の表記問題で、韓国の次期大統領候補たちが「東京五輪ボイコット」をぶちあげたことが、波紋を広げている。

【写真】東京五輪「侍ジャパン」のベストメンバーは?

 韓国政府は日本政府に対して竹島の表記を削除するよう要請したが、日本側は拒否。すると、丁世均前首相はこの問題で静観の構えをみせていた国際オリンピック委員会(IOC)に怒りの矛先を向けた。

 韓国のメディア「民衆の声」によると、丁氏は「政治的中立は五輪の最も重要な原則である。東京五輪の地図で独島表記は大韓民国に対する日本の明白な政治的挑発で、公平性の違反、五輪精神の毀損にあたる。IOCは平和、安定、人類の祭典を管理監督する義務と責任があるが、自ら五輪精神を毀損している」とIOCを痛烈に批判、さらに、「改善されなければ、国民の意思を受けて五輪をボイコットしなければならない」と東京五輪の参加辞退を示唆した。

 また、李洛淵元首相もSNS上で、「竹島の表示が削除されなければ、韓国の東京五輪ボイコットもある」と主張している。

 韓国の政治問題に精通している一般紙の国際部記者は、丁氏と李氏が東京五輪ボイコットを主張する背景に、「来年3月に控える次期大統領選挙が影響しているのではないか」と分析する。

「2人も出馬に意欲をみせていますが、支持率が伸び悩んでいます。韓国の政治家は国民の心をつかむために過激な反日カードを持ち出すことは珍しくありません。韓国国民の間でも竹島の表記問題には日本に不満の声があり、大統領府に対して東京五輪のボイコットを求める国民請願が出されています。丁氏と李氏の五輪ボイコット発言に対して熱烈な支持者は賛同していますが、『人気取りのためのパフォーマンス』と冷めた反応も少なくありません。政治家の間でも『首相経験者が東京五輪ボイコットを声高に言うのはどうなのか。日本との関係を長期的視点で考えるとリスクが大きい』という声が上がっています」

次のページ