顔と同じように「ケア」が必要※写真はイメージです(Getty Images)
顔と同じように「ケア」が必要※写真はイメージです(Getty Images)

 欧米ではボディケアのひとつと考えられている「腟まわり」のケア。腟の乾燥を防いで、適度な潤いを保つお手入れのことだ。近年、日本でもアンチエイジングの一環として注目され始めている。最近は、更年期前の年齢の30~40代前半の女性も腟の乾燥が気になるとか。産婦人科医で、女性専門外来の先駆けとして知られる東峯婦人クリニックの松峯寿美理事長にセルフケアについて聞いた。

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■ 2週間続けると、腟まわりがふっくらしてくる

 30代から40代前半の人たちの場合、月経が規則的なサイクルで来ているのであれば、女性ホルモンのバランスは正常であり、プレ更年期の心配はないという。乾燥の原因はきわめてシンプル。「腟まわり」の“洗いすぎ” の可能性が高いのだそうだ。

「各家庭に温水洗浄便座が設置されている時代。トイレのたびに『腟まわり』を洗い流す習慣がある人が多いのではないでしょうか。毎日お風呂でも洗いますよね。そうした現代の生活習慣によって、皮膚の保護膜が洗い流され、自浄作用が乱れてしまったのが乾燥の原因だと思います」(松峯医師、以下同)

 そして、そのまま何もせず“洗いっぱなし”の状態がよくないのだという。そもそも皮膚の乾燥は、潤いや弾力が失われつつあるサイン。皮膚や粘膜の乾燥を放置すると、加齢とともにシワが深くなり、将来的には「萎縮」につながる心配もあるのだ。

「本来、『腟まわりの皮膚は、顔と同じ』と考えるべき。顔を洗った後は、洗いっぱなしにはしないでしょう? 乾燥を予防するために保湿ケアをしますよね。『腟まわり』も同様に、潤いを補ってあげることが必要。そうすれば、乾燥を食い止めることができますよ」

 言われてみれば、入浴後、顔や体にはローションやクリームを塗るのに、「腟まわり」は保湿していないという人がほとんどではないだろうか。そのせいで「腟まわり」の皮膚が乾燥している人が意外に多いのだ。

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タオルでは洗わない