家族がいても、遺品を見られたくない、触られたくないという人は、遺品整理一切を業者に任せることも可能だ。契約相手に制限はないが、弁護士、司法書士、行政書士など専門家に依頼すればそれなりの金額がかかることは心得ておこう。

 友人や知人に依頼する場合、無償で受けてくれる人もいるかもしれないが、実際にはかなり煩雑な手続きになるため、専門家を交えて報酬額を決めることをお勧めする。いずれの場合も、生前にある程度まとまった額のお金を託すことになるため、信頼を置ける人を選ぶことが最も重要だ。

●「万が一」に備えて活用できる制度

・見守り契約
電話や面談などで月1~2回ほど連絡。通常は財産管理や任意後見の契約と一緒に結ぶ。認知症の変化に気づくことも

・財産管理等委任契約
体が不自由になったり、介護施設に入所したりで、日常の財産管理が難しい場合に契約。預貯金、保険、定期支払いなど

・成年後見制度(任意後見)
認知症などになった場合に備えて契約を結ぶ。日常の財産管理や、入所・入院の契約、税務申告など

・成年後見制度(法定後見)
認知症などで判断能力が衰えた場合に家庭裁判所が後見人等を選定。財産管理、契約の手続き、重要書類の保管など

・死後事務委任契約
訃報連絡、遺体の引き取り、葬儀、死亡届の提出、施設の費用や入院治療費などの支払い、遺品整理、納骨など

【監修】
田中弘美(ファイナンシャルプランナー)

(文/佐藤淳子)
※『定年後からのお金と暮らし2021』より