ドラフト候補にもなっている千葉学芸・有薗直輝 (c)朝日新聞社
ドラフト候補にもなっている千葉学芸・有薗直輝 (c)朝日新聞社

 東海大相模(神奈川)が10年ぶりの優勝を果たした今年の選抜高校野球。改めて出場校を見てみると21世紀枠の4校を含めて10校が初出場というフレッシュな顔ぶれだった。近年の夏の甲子園を見てみると聖光学院(福島・13年連続)や作新学院(栃木・9年連続)のように1強が続いている県もあるが、それでも初出場を果たす学校が途絶えることはなく、花咲徳栄(埼玉)、健大高崎(群馬)、明石商(兵庫)のように一気に全国レベルの強豪となるチームも出現している。そこで今回はまだ甲子園出場はないものの、今後の躍進が期待できる高校をピックアップして紹介したいと思う。

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 関東でこの春一気に知名度を上げたのが千葉学芸(千葉)だ。設立は1887年と歴史のある学校だが、長くは女子校であり男女共学となったのは2000年から。同じタイミングで男子のスポーツにも力を入れ始めると、2002年には男子ゴルフ部が全国大会優勝を果たしており、2016年の日本ツアー賞金王である池田勇太は同校出身である。

 野球部は激戦区の千葉ということもあってすぐに結果を残すことはなかったが、昨年は夏の代替大会と秋の県大会で連続して準々決勝に進出。そしてこの春は中央学院、成田、専大松戸という甲子園出場経験のある強豪校を続けて破り、初の県大会優勝を果たしたのだ。続く関東大会では初戦で惜しくも関東一(東京)に逆転サヨナラ負けを喫したものの、8回までは2点のリードを奪う見事な戦いぶりを見せている。

 チームで特に高い注目を集めているのが主砲の有薗直輝だ。1年夏には既に4番を任されるほどの右の強打者で、そのパワーは間違いなく高校生ではトップクラス。更にサードから見せる強肩はプロの中に入っても見劣りすることはないレベルにある。同校から初となるプロ野球選手誕生の可能性は高いだろう。またエースの北田悠斗はスピードこそ130キロ台ながら安定感のあるサウスポーで、チーム全体の守備のレベルも高い。北田に次ぐ2番手以降の投手が成長すれば、夏の千葉大会でも十分に優勝を狙えるだけの戦力は備えている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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