こんなマウスの実験があります。マウスを二つのグループに分け、一つのグループでは炭水化物の摂取量を増やし、もう一つのグループでは糖類の摂取量を増やしました。実験の結果、糖類を多量摂取したグループのマウスにだけ脂肪肝が確認されました。そしてこのグループでは、腸内環境の悪化が見られたそうです。

炭水化物には食物繊維も多く含まれており、腸内細菌のエサになります。腸内細菌は短鎖脂肪酸など体内に有用な物質を生成してくれます。腸内細菌にしっかり働いてもらうためにも、炭水化物は摂取しておくことをおすすめします。つまり、皆さんが注意すべき糖は、炭水化物ではなく、糖類だと考えられます。

(3)やるべき本当の糖制限

 ここまででお分かりかもしれませんが、皆さんがやるべき糖制限は、「糖質制限」ではなく、「糖類制限」です。お米やサツマイモ、人参などを過度に避ける必要はありません。避けるべき糖類は、砂糖や、お菓子・ジュースなどに多く含まれる果糖ぶどう糖液糖などです。具体的な目安は、WHO(世界保健機関)のガイドラインに従って「砂糖は一日の摂取カロリーの5%未満」としておきましょう。例えば平均的な成人女性の場合、砂糖大さじ3杯ほどでこの目安を超えそうです。

 とはいえ、僕のダイエットの理論の一つに「たまには好きなものを食べるべき」という考えがあります。なぜならば、我慢は心に毒だし、食に対する過度な我慢は人生の幸福度を下げてしまうと思うからです。ですので、お菓子やジュースを毎日摂取するのは避けるべきですが、たまには楽しむという生活を送ってほしいと思います。これが、僕が推奨する“糖制限ダイエット”です。

(文/計太)

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計太

計太

計太(けいた)/1989年、奈良県生まれ。大阪教育大学スポーツ科卒、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修了。専門は運動生理学。東京を中心にパーソナルトレーニングジム「ボクノジム」(https://bokuno-corporation.com/)を経営。論文の科学的データに自身の経験を組み合わせ、インスタグラムやツイッターなどで理論的かつ実践的なダイエットやトレーニングに関する情報を発信中。“2か月後の減量よりも1年後の健康”をテーマにしたYouTubeチャンネルは登録者11万人(2022年1月現在)と人気を集める。また、公式LINE(https://lin.ee/VJIfdbB)ではダイエットに役立つ情報や動画を無料配信中。

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