「担当者がテクノシステム側の言い分を信じて、融資を継続していた。だが、テクノシステム側には380億円を融資。その多くが別の目的に使われていたことが知らないなどありえない」

 第三者委員会の報告書は、SBISL社からテクノシステムへの融資のうち、129億円の使途が契約違反と指摘している。SBISL社は近く、金融庁が金融商品取引法に抵触したとして、業務停止命令を発令するとみられる。東京地検特捜部の捜査は、現在のところ金融機関に対しての詐欺容疑だ。

 しかし、今後、SBISL社からの融資なども捜査対象になるとみられる。また、SBISL社には政府系金融機関からも融資が実行されているようだ。

「テクノシステムから被害にあったのはかなりの数の金融機関にのぼる。
SBISL社も含めて、今後、巨額詐欺で大きな事件となる可能性がある。
融資された資金を私的流用していたような形跡もある。なぜ経営基盤がぜい弱で、コンプライアンス意識が低いテクノシステムが多額の融資を得ることができたのか。そこに政治家が絡んでいないのか、今後、捜査していく」(捜査関係者)

 捜査は政界へ波及する可能性もあるという。

「テクノシステムのスキャンダルが明らかになれば、小泉進次郎環境相はしばらく動けなくなるだろう。衆院の解散総選挙が近く、人気者の進次郎氏が動けないのは、自民党にとって痛手だ。テクノシステムの捜査いかんで、政局にも解散総選挙、東京五輪にも大きな影響を及ぼすかもしれない」(前出・自民党閣僚経験者)

 一方、小泉元首相周辺はこう話す。

「なぜ、詐欺事件で東京地検特捜部が乗り出してくるのか。小泉元首相を狙った反原発の運動”潰し”ではないか」

 捜査の行方に注目したい。(今西憲之)

※「テクノシステム」社長・生田尚之氏らが東京地検特捜部に27日、逮捕されたので加筆しました。

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今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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