「慣れない会場に行けば、席が隣り合った子同士でしゃべってしまうと思います。トイレの引率時も心配です。各自で行くと迷子になってしまうので、百人以上の生徒を数十人ごとに分けて引率することになります。トイレは狭い空間ですし、観客もいれば密になります」

 そして、なにより心配なのは、会場までの電車移動だという。

「電車で都心に出るような校外学習は、したことがほとんどありません。たいていは貸し切りバスを使うので、教員も含め、電車での集団移動に慣れていないのです。観客が入るとなれば、駅の混雑が予想されます。『電車に乗り遅れないか』『迷子にならないか』『一般の乗客に迷惑をかけないか』と心配は尽きないのに、さらに感染対策にも気を付けないといけないなんて……」

 組織委に対しては、厳しい意見を寄せる。

「児童・生徒の観戦は中止にしてほしい。この状況で行くことに、まったく理解ができません。生徒にチケットを配布して各家庭で連れていけばいいのに、なぜ学校で行かなければいけないのか。大人数で動けば、当然感染リスクを伴います」

 都によれば、今後も複数回の実地踏査が行われる予定だという。

 現時点では計画は「敢行」されるようだが、今後の感染状況によっては、生徒らの安全確保が必要な事態も想定される。観戦計画を遂行するか否かの最終判断は、いつ、誰がするのだろうか。

「学校連携観戦プログラム」は組織委の企画事業で、都は自治体のひとつとして参加する形をとっているという。都としては、「通常通りの実施を想定して動いています」(都教委)といい、現状では、組織委が大会の開催中止か無観客開催を決めない限りは、観戦計画を実施する見込みという。

「組織委が観客の上限数を6月中に出すそうで、ここで無観客の判断ならば実施できません。観客を入れるのであれば、都としては観戦計画を実施する予定です。観客を入れるということは、ある程度コロナが収まっているということ。もちろん、各学校が区市町村の教育委員会と相談した上で観戦を見送る場合もあります。都はその判断を尊重します」

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参加しないと「欠席」扱い?