そんな状況は、2000年代後半になると完全に逆転する。例えば、2010年の女子ツアーは34試合が行われ合計賞金額が約29億円となったが、同年の男子ツアーは25試合のみと低迷。石川遼が史上最年少で賞金王となり、池田勇太が活躍、丸山茂樹も復活Vを果たすなど、男子ゴルフに注目が集まった翌年だったが、女子に大きく水を開けられる形となった。

 その後も、女子は右肩上がりの状況が続くが男子は停滞。2019年の女子ツアーは36試合が開催され、その賞金総額は37億500万円。同年の男子は、賞金総額が過去最高の42億9475万円になったというが、これは米男子ツアーとの共催となったZOZOチャンピオンシップが含まれたもので、ZOZOを除けば女子の総額に及ぶものではなかった。

 2020年の女子ツアーは、新型コロナウイルス感染症が蔓延し予定していた大会の多くが中止となったが、5大会で賞金総額がアップ。アース・モンダミンカップとマスターズ GCレディースは賞金総額2億4,000万円にまで増え、男子顔負けの高額賞金大会となり、その勢いは止まらなかった。

 そして2021年、女子ツアーは試合数こそ東京五輪の影響もあり37試合となったが、賞金総額は1年単位で見ると史上最高の41億4000万円を記録。6月24日から開催されるアース・モンダミンカップは、総額3億円の賞金となり業界を驚かせた。ちなみに今年予定されている男子ツアーは、現在24試合となっており賞金総額は27億を少し超えたところ。1試合平均の賞金総額で見ても、女子が約1億1,189万円で、男子の約1億1,299万円に迫っており、いかにスポンサーが女子ツアーの価値を感じているかが見て取れる。

 世界のゴルフやその他のスポーツ界では、一部を除き、男子に比べて女子の賞金を含めた報酬が少ないことが一般的だが、国内ゴルフに関しては、この十数年において、全く逆の現象が起きているということだ。

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男子ゴルフ界の“巻き返し”はある?