Q)先進医療や最新の治療法がいろいろあるようですが、そのほうがより効果があるのでは?

A)試してみる価値はあるが、標準治療との違いをよく理解して

 先進医療とは、国が認める医療技術で、安全性について一定の要件を満たしているものの、有効性については十分検証されていないものが少なくありません。費用も多くの場合は患者の自己負担になります。

「医療は常に進歩していますから、先進医療にチャレンジすることは問題ありません。ただ、いいところだけ見て飛びつかないように、標準治療との違いを医師によく聞いておくことです。代替療法をご家族が見つけてきて患者さん本人が振り回されることもよくあります。科学的根拠がはっきりしないものや、なかには害になるものもあるため、治療の妨げにならないかを必ず主治医に確認してください」(坪井医師)

 薬物療法が専門の加藤医師は、「無理して先進医療を受ける必要はない」としつつ、新しい治療法を確立するための「治験」も一つの方法だと話します。

「薬物療法は半年ごとに標準治療が変わるほど、進歩の早い治療法です。ですから担当医師から提案があった場合は、内容について十分説明を受けて納得がいくのであれば、治験に参加することも考えていいと思います。多くの人に治験に参加してもらえると、それだけ早くよい治療法を世に出すこともできるので、薬の治験にも関心を持っていただければと願っています」(加藤医師)

【回答した医師】
国立がん研究センター東病院呼吸器外科長 坪井正博医師
近畿大学病院腫瘍内科主任教授 中川和彦医師
順天堂大学順天堂医院腫瘍内科教授 加藤俊介医師

(文/福永一彦)

『手術数でわかる いい病院2021』から