がんにまつわるさまざまな悩み、専門医に聞いてみました。

Q)手術まで1カ月待ちと言われました。そんなに放っておいても大丈夫? 時間がたつと手遅れにならない?

A)急に進行するがんでない限り手遅れになることはありません

 治療を待つ間にがんが進行してしまうのでは、と不安に思っても不思議ではありません。これについて国立がん研究センター東病院の坪井正博医師は「医師が待てると判断したなら大丈夫です」と答えます。

「手術の枠が決まっている病院では順番待ちになりますが、私のこれまでの経験では、手術を待っているうちに手遅れになった例はありません」

 それよりも待つ間に体力をつけることを坪井医師は勧めます。

「治療には体力を使うので、禁煙は当然として、睡眠、栄養を十分にとり、運動習慣がない人には適度な運動をするようにお願いしています」

 近畿大学病院の中川和彦医師も「手術できると言われたならば心配ありません。がんは手術をするぐらいの大きさになるまでに何年もかかっているので、1カ月程度で急に進行することは一般的にはありません」と話します。

「ただし、かなりがんが進行している場合、腫瘍の量がある一線を超えるとがくんと体力が落ちることも。また、なかには急速に進行する種類のがんもあるので、そういう場合は他の治療も含めて早めに始めます」

 医師から1カ月後に手術と言われたら、急を要する状態ではないと考えてよさそうです。

Q)地域の総合病院でがんと診断されたけれど、治療は専門病院でするほうがいい?

A)総合病院でも大丈夫と思われますが、心配ならがん診療連携拠点病院へ

 数多くの病院があるなかで、どの病院ならがんをきちんと治療してもらえるかどうか、患者にはなかなか判断できません。

 順天堂大学順天堂医院の加藤俊介医師は「一般的ながんの場合は、専門医のいる市中病院でしっかり治療してもらえるでしょう」と答えます。

「ただこの病院でいいのかなと不安を感じたら、ほかの病院でセカンドオピニオンを求めてもよいでしょう。難しい手術や、複数の診療科にまたがるような治療は、がん専門の病院で治療を受けるのがいいと思います」

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厚労省が指定する病院は治療に対応できる