巨人・石川慎吾(写真提供・読売ジャイアンツ)
巨人・石川慎吾(写真提供・読売ジャイアンツ)

 開幕から約2カ月が経過した今年のプロ野球。来日が遅れていた外国人選手も軒並み合流したが、まだまだ戦力的に苦しい球団は少なくない。コロナ禍の影響で更に新外国人を獲得するとなると難しく、残された補強の手段はトレードとなる。開幕前に成立したトレードでは田口麗斗巨人ヤクルト)と池田隆英(楽天日本ハム)がローテーションの一角を担い、開幕後に移籍した谷川昌希(阪神→日本ハム)もブルペンに欠かせない存在となっている。他にも彼らのように環境を変えて活躍できる選手はいないのか、二軍でのプレーぶりを参考に探ってみたいと思う。

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 まず投手でなかなか一軍での出番はないながらも、結果を残しているのが有吉優樹(ロッテ)と釜田佳直(楽天)の2人だ。有吉はルーキーイヤーの2017年にはリリーフで53試合に登板。翌年はシーズン途中に先発に転向して6勝をマークしている。しかしその後は故障もあって成績を落とし、今年は鈴木昭汰や佐々木朗希など若手の台頭もあって一軍昇格を果たせていない。

 それでも二軍ではここまで先発として3勝をマークして防御率も0点台と安定したピッチングを続けている。ストレートのスピードは140キロ台前半が多いものの、小さくボールを動かして打たせてとるピッチングが持ち味で、何よりもコントロールが安定しているというのが大きな長所だ。打者を圧倒するようなことはなくても、しっかり試合を作れるだけに機会さえ与えられれば一軍で戦力となる可能性は十分にあるだろう。

 一方の釜田は高校卒1年目にいきなり7勝をマークして華々しいデビューを飾ったものの、その後は度重なる故障で結局この年の成績がキャリアハイとなっている。毎年積極的な補強を繰り返すチームの中で、昨年もリリーフでわずか4試合の登板に終わった。しかし今年は開幕から二軍では先発ローテーションを守り、まずまずの投球を続けている。持ち味である150キロ前後のスピードは健在で、ボールの勢いは決して失われてはいない。今年で28歳とまだ若さがあるというのも魅力だ。投手陣の苦しいDeNA、西武などはぜひ狙いたい選手と言えるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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