しかしながら、自治体や医療機関の方々はじめ多くの方が、日々、ワクチン接種の対応に追われていると聞いています。勤務先のクリニックも、医師をはじめとした医療スタッフの確保や、予約システムの構築、当日の案内や対応など、日々の業務や診療に加えての対応をしなければならず、特にワクチン担当のスタッフには頭が上がりません。

 残念なのは、予約システムに支障をきたすほどの人がワクチン接種を希望している中で、キャンセルなどで余ったワクチンが実際に廃棄されてしまっていることです。予約していても、当日の体調不良で接種できない、問診票に不備があるなど、いろんな理由でキャンセルが生じるのは、新型コロナウイルスワクチンに限りません。

「数日前から体調はあまり良くないけれど、やっと予約できたからコロナのワクチンを接種したい」と言う方が先日いらっしゃいましたが、体調がすぐれないのに接種するのは勧められなかったため、接種を延期していただきました。このようにキャンセルがでた時には、たとえ接種券がなくても記録することを前提として、医療従事者や高齢者を優先して接種するなど、現場で柔軟に対応し、ワクチンを有効に活用するよう、河野規制改革担当大臣は求めています。

 とは言うものの、先日の予約優先確保に関する報道の影響でしょうか。「接種したいですが、まだ対象年齢になっていないから、順番を待ちます」と言う声も、実際に聞かれます。クーポン券が届いていないと、医療機関側はワクチン代を請求できないというシステムも、残を廃棄しなければならなくなる要因の一つでしょう。
 
 米国では、ドライブスルー方式でワクチン接種を提供する会場を設置したり、ドラッグストアや野球のスタジアム、ディズニーランドなどでも接種が受けられたりと、集団接種のための施設の確保を行うとともに、一時的に公的医療機関のスタッフや免許失効後5年以内の元医師や、医療系の学生、薬剤師や獣医師などが接種を行えるよう特別認可するなどして人員の確保も積極的に行なっていると言います。

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アメリカではワクチン効果のレポートも