「あれだけのスターでもチームのプラスにならなければ、出されてしまう。地位も名誉も手に入れたプホルスは、最近は王様のような状態だった。カージナルス時代のような謙虚さが、少し失われていたようだった。結果を残していれば周囲も黙認しただろうが、現状はそうもいかなかった」(スポーツ新聞MLB担当記者)

 今回、プホルスのような偉大なプレーヤーでもシーズン序盤に非情な決断が下されるメジャーの厳しさが浮き彫りとなった。それとは対照的に、日本では時にファンから非難を浴びるような“温情契約”が話題となることもある。日米どちらが正しいというわけではないが、日本の球団はメジャーに比べ選手に対して“優しい”というのは紛れもない事実だろう。

「日本はやはり特殊で松坂大輔(西武)と斎藤佑樹(日本ハム)は代表例です。名投手として甲子園や神宮を沸かせた。松坂はプロでも実績を残した。名前は誰もが知っている全国区で、投げるとなれば注目を集めるはず。しかし現在は2人ともマウンドに立てる気配すらない。解雇されても当然で、チームに残すとしても育成契約などが妥当」(スポーツ新聞MLB担当記者)

 松坂は昨年7月に脊椎内視鏡頸椎の手術を受けた影響もあって、西武復帰後(20年~)は未だに一軍のマウンドに立てず、現状復帰のメドも立っていない。斎藤も昨季一軍登板の機会はなく、オフには右肘の内側側副じん帯断裂の重傷を負っていたことが判明。松坂と同じく今シーズンの復帰は不透明だ。松坂は今年で41歳、斎藤は33歳と年齢的なことや、今後の期待値を考えても、「メジャーであれば……」という状況になっている。

「斎藤は知らないけど、松坂はそんな状況なのか。米国時代から故障をしそうな投げ方だったし、常にウエイトオーバー気味だった。バートロ・コロン(メッツ時代の同僚、180cm130kgの巨漢)と似たような感じだったからな。投げられなくても球団が契約するなら選手を続けるべきだよ。だってプホルスはまだグラウンドに立っていたのに、戦力外になったのだから」(ニューヨーク在住のスポーツコラムニスト)

 ポジションも違い、単純にプホルスと松坂、斎藤は比べられない。だが、プホルスは今季も41歳という年齢ながら、24試合で5本のホームランを記録している。2人とは異なり、少なくとも試合に出場できる状態ではあった。

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メジャー挑戦には覚悟が必要