「氷艶シリーズは、日本にこれほどまでのフィギュアスケート人気がなければ誕生しえなかったショーです。フィギュアをよく知っている、成熟したファンの皆様に支えられて生まれたものですから」(『LUXE』公式パンフレットより)

 そう語る高橋は、フィギュアスケートの新たな可能性をこのアイスショーに見出しているのだろう。傑出した表現者である高橋は、原点であるスケートに重点を戻した『LUXE』で、さらなる進化を遂げている。

 競技者として五輪出場を目指す高橋は、北京五輪シーズンを目前に控え「リズムダンスのプログラムもできあがり、新しいスピンやリフトも挑戦中です」という。

「リュクスの合宿期間中も無理を言って、現役組の僕達と刑事で練習時間を作ってもらい日々トレーニングが出来ました。少し日本でゆっくりしてからまたフロリダに戻りトレーニング開始です」(高橋)

 逆境の中で迎えた貴重な舞台を、分野は違ってもエンターテインメントへの志でつながる仲間達と創り上げた高橋。『LUXE』で得た経験は、アイスダンサーとしての高橋大輔をどう変えていくのだろうか。(文・沢田聡子)

●沢田聡子/1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。シンクロナイズドスイミング、アイスホッケー、フィギュアスケート、ヨガ等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。「SATOKO’s arena」