<世界は今、東京2020大会に注目しています。これを1つのチャンスと捉え、組織委員会から「ジェンダー平等」や「多様性と調和」について具体的に発信していくことが、日本の社会を変えていくことにつながるのではないか。東京2020大会を通じて、社会の意識改革を目指していきたいと思います>

 丸川珠代五輪相もこんなメッセージを発信している。

<東京2020大会を、世界中の人々が多様性と調和の重要性を改めて認識し、共生社会をはぐくむ契機となるような大会とするべく、日本国政府は、IOC、IPC、東京都及び大会組織委員会とともに、東京大会を史上最高のジェンダー平等の大会とすること、スポーツ界における女性の参画を推進すること、コロナ禍において大きな影響を受けた女性への支援を行うことに、全力で取り組んでいきます>

 「多様性と調和」を掲げる東京五輪で、女性アスリートが出場か家族かを選択しなければならない状況にあることを、大会組織委員会はどう受け止めているのか。AERA dot.の質問に対し、以下のように回答した。

「子どもを持つ多くの女性アスリートがオリンピックを含む高いレベルでの競技を続行していることは素晴らしいこと。他方、東京大会は、コロナ禍での大会ということもあり、国際オリンピック委員会(IOC)との協議の結果、アスリートの家族等同伴者の参加は断念せざるを得ないということになっています。ただ、特に幼いお子様については特別の事情もあることから、どのように対応するのか、引き続き関係者のご意見等をお聞きしながら、国際オリンピック委員会(IOC)・国際パラリンピック委員会(IPC)と相談していきたい」

 感染対策とのバランスを問われるなかで、アスリートの声にどう対応するのか。橋本会長の目指す「意識改革」が試されている。

(文/AERA dot.編集部・岩下明日香)