一つだけ問題があるとすれば、多くの歯科医師がまだ、自分自身のワクチン接種ができていないことです。私のクリニックのある東京都渋谷区では4月末から歯科医師や歯科衛生士などの優先接種が始まりましたが、初日は東京都の予約システムがつながらず、誰一人予約できませんでした。その後も一向につながらず、まもなく、不具合が見つかったということでWEBサイトの運用が停止となりました。その時点で予約がとれたのはスタッフの歯科医師1人と歯科衛生士1人です。

 こうした状況に危機感を抱いた渋谷区歯科医師会が、同じ渋谷区医師会との連携により、一定数のワクチンを確保できたという知らせがきたのが5月に入ってからのことです。希望者の抽選でしたが、私を含むスタッフ全員が、無事、5月中旬に1回目のワクチンが接種できる見通しとなりました。

 いずれにせよ、未接種では、さすがにお手伝いができないので、全国の歯科医師ができるだけスムーズにワクチンを打てるようにしてほしいと願っています。

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若林健史

若林健史

若林健史(わかばやし・けんじ)。歯科医師。医療法人社団真健会(若林歯科医院、オーラルケアクリニック青山)理事長。1982年、日本大学松戸歯学部卒業。89年、東京都渋谷区代官山にて開業。2014年、代官山から恵比寿南に移転。日本大学客員教授、日本歯周病学会理事を務める。歯周病専門医・指導医として、歯科医師向けや一般市民向けの講演多数。テレビCMにも出演。AERAdot.の連載をまとめた著書『なぜ歯科の治療は1回では終わらないのか?聞くに聞けない歯医者のギモン40』が好評発売中。

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