別のテレビ局のディレクターはこう話す。

「テレビの視聴者は高齢化していますが、オーディション番組は若い子たちが見てくれる。オーディションの挑戦者の中から、自分の好みを見つけて『推し』にして、投票したり、クチコミで拡散してくれたりする。オーディションでは数多くの脱落者が出ますが、その姿もドラマになる。脱落者にも視聴者は感情移入して、ときに涙する。若い子たちにとっては、『推し』が審査を突破していくことで、タレントを”育てる”楽しみがあるんですよ」

 リーズナブルにスターを発掘したい芸能事務所やテレビ局の事情に加え、「人間ドラマ」を求める視聴者のニーズも満たせるオーディション番組。しばらくは隆盛が続きそうだ。(取材・文=AERAdot.編集部・上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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