AERAの表紙を飾ったNiziU(2020年12月7日号)
AERAの表紙を飾ったNiziU(2020年12月7日号)

 5月7日、9人組ガールズグループ「NiziU」が公開した2枚目のシングル「Take a picture」のMVが、YouTube再生回数5000万回を突破した。

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 NiziUはガールズグループを発掘する日韓共同プロジェクト「Nizi Project」から誕生し、朝の情報番組「スッキリ」(日本テレビ系)とコラボしたことで、人気に火が付いた。日本と韓国でのオーディションの様子は「スッキリ」で放送され、動画配信サービス「Hulu」でも独占配信された。

 NiziUの成功に続けとばかりに、今、オーディション番組が活況を呈している。大手芸能事務所の経営者はこう話す。

「コロナのピンチをチャンスに変えるには新しい人材発掘は不可欠です。俳優を育てるよりも、歌手を育てるほうが時間がかかる。われわれには、オーディション番組は重要な新人発掘の場になっています」

 かつて新人発掘オーディションを手がけた経験のある芸能事務所の担当者もこう続ける。

「1人のスターを作るのに、芸能事務所単独で頑張っても限界がある。地上波のテレビ、レコード会社、ネット配信会社とタッグを組んで盛り上げないと、なかなか全国レベルにはならない」

 背景には、やはりコロナ禍のエンタメ不況がある。特に、音楽公演の中止や延期、イベントの自粛などで、芸能事務所の経営にも大きな影響が出ているようだ。

「エンタメ界のなかでも、音楽業界が一番の赤字でしょう。これからは倒産するレコード会社も出てくるのでは。特に演歌系が壊滅状態です。演歌ファンは高齢者が多いため、コンサートも開けない。もし高齢のお客さんたちが感染したら大問題になるので、事務所としてはリスクは取れない」(前出・大手事務所経営者)

 そうした中、業界が注目しているのがオーディション番組なのだ。NiziUの成功に感化されたのはテレビ局などメディアも同様で、次々とオーディション番組が誕生している。

 4月17日からスタートした「私が女優になる日_」(TBS系)は、芸能事務所「田辺エージェンシー」とAKB48や乃木坂46などを世に送り出した秋元康氏とがタッグを組んだ女優発掘オーディション番組。約9000人の応募者の中から選ばれたファイナリスト10人がTBSドラマの出演権をかけ、3カ月間にわたって演技バトルを繰り広げる。地上波で放送しきれなかったコンテンツは、同名の公式YouTubeチャンネルで公開され、バーティカルシアターアプリ「smash.」、動画配信サービス「Paravi」でも配信される。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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