現在、性教育・月経教育に使われている教科書にも、ナプキンなどの生理用品が必要なことや、その使い方など具体的な対処法まで載っていないことが多い。生理痛やPMS・PMDDなど月経に伴う心身の変化についての詳しい説明はなく、『おなかが張る』『個人差がある』などの記載があっても、症状によっては医療機関を頼ってもいいこと、改善法があることまでは触れられていない。

 にじいろさんはこう話す。

「最近は、保健の時間とは別に月経教育の時間を設ける学校が増えており、キャンプや修学旅行などの宿泊行事前に時間を設ける学校や、3~4年生で学んだことを5~6年生で復習したり、実際にナプキンを用いて使い方を教えたりする学校も出てきています。しかし、それでも学校での月経教育は、合計1~3時間程度。とても『生理との付き合い方』や『生理のつらさ』にまで触れる時間はありません。月経が心身の健康に大きな影響を及ぼすということは、性別に関係なく平等に小学校でも学ぶべきだと思います」

 百名さんも同意見だ。

「たった1~2時間程度、1~2回だけで終わってしまうため、知識が定着せず、小学生で教わっているはずの内容を、高校生でもきちんと理解できていない生徒は少なくありません。『痛み止め』や『低用量ピル』についても適切な情報を伝えられていないため、『もっと早く教えてほしかった』という声を中高生からよく聞きます。男子が月経を知ること、女子が精通やマスターベーションを知ること、どちらも大切。小学校1年生から毎年数回は学習の機会を設けて、性教育・月経教育を、科学的・医学的に男女平等に充実させてほしいと思います」

 月経教育・性教育を男女平等に充実させることは、本当の意味での男女平等社会の実現や、月経に関する悩みを抱える女性の救いにつながるのでないだろうか。早期の改善を強く望む。(旦木瑞穂)

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旦木瑞穂

旦木瑞穂

プロフィール:旦木瑞穂(たんぎ みずほ)/愛知県出身。グラフィックデザイナー、アートディレクターを経て2015年に独立。葬儀・お墓・ダブルケア/シングル介護・PMS/PMDDに関する執筆のほか、紙媒体の企画編集・デザイン、イラスト制作を行う。

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