また、吉村氏にとってやっかいな問題も浮上している。サウナ市長こと、大阪府池田市の冨田裕樹市長が2019年10月に「大阪府吉村洋文知事を囲む懇談会」に公費を支出したことが、情報公開で明らかになり、問題化している。吉村氏を囲む会とはどんなものだったのか?

 本誌が入手した2019年9月6日、大阪府取町広報広聴課から藤原敏司熊取町長の名前で発信された案内状によると、午後7時から、会費は1万円、大阪市内のホテルで開催されている。

 案内を見ると<市長・町長 各位>となっている。大阪府には「村」もあるため、府下すべての自治体に発信されたものではないようだ。参加した市町村を調べると、大阪府の吉村氏はもちろんのこと、池田市に加えて、大阪市、堺市、岸和田市、枚方市、八尾市、泉佐野市、箕面市、柏原市、門真市、阪南市、大阪狭山市、豊能町、太子町、熊取町の15の市町の首長が参加していた。参加者の共通点は市長、町長が大阪維新の会所属か、選挙で支援を受けていることだ。

 冨田氏は大阪維新の会所属で19年4月、市長選に勝利した(サウナ問題後に同党を離党)。政党活動に公費を使っていたのだ。大阪維新の会関係者がこう話す。

「これは維新の首長飲み会でしょう。過去、何度か開催されているはず。午後7時からですから、酒も出ましたね。松井市長、吉村知事が参加するのであれば、行くしかないでしょう。最初に吉村知事の挨拶があって、乾杯を誰かが音頭をとり、あとは飲み会。維新の者が和気あいあいと意見交換という感じだったでしょうか」

 冨田氏が公費を使った池田市を取材した。

「自治体から公文書の発信で案内があったので、自治体からの意見交換として公務と判断した。適正であった。だが、指摘を受け政務として取り扱っている自治体が多かったことが判明した」(広報)

 公開されている、吉村氏の「知事日程」を見ても、2019年10月18日は「囲む会」の記載はなく、政務扱いとみられる。日本維新の会所属の国会議員はこう語る。

「吉村知事は、コロナがここまで深刻なことになるとは思ってもいなかったようです。テレビに出まくり外出自粛などをPRし、見回り隊など大阪独自のコロナ対策をやっていますが『思いつき』『行き当たりばったり』と批判の声が府庁内ではあがっている。大阪都構想も否決され、そこに維新で当選させた池田市長のサウナ・スキャンダルは確実にマイナス。これ以上、揉めてはまずいと急遽、松井一郎大阪市長が動いて公明党を説得。市議会の不信任決議案は否決に持ち込んだが、冨田氏は辞職時期を明確にせず維新にとっては悩みのタネ。衆院解散総選挙となれば、かなり議席を減らすのではと党内は意気消沈している」

(今西憲之 AERAdot.取材班)