菅政権は5月7日夜、東京、大阪、兵庫、京都の4都府県に発令中の緊急事態宣言について、11日までに設定していた期限を今月31日まで延長し、愛知、福岡を12日から対象地域に加えることを決定した。

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 また、首都圏3県などに適用されている「まん延防止等重点措置」も期限を今月31日まで延長し、北海道、岐阜県、三重県を9日から新たに追加。宮城県は11日の期限をもって対象地域から外すという。

 都内で居酒屋を経営している50代の男性店主は閑散とした店内で、菅義偉首相の記者会見をテレビで見ていた。

『飲食やお酒を伴う機会の感染リスクを減らすことは、かねてより専門家から極めて効果が高いと指摘されております。飲食店における酒やカラオケの提供の停止を続けるとともに、新たにお酒の持ち込みを制限することを対策に加えさせていただきます。飲食店以外でのお酒が感染につながることがないよう十分な注意をお願い致します』

 菅首相の呼びかけに、店主はこう怒りをにじませた。

「それなら路上飲みも処罰を設けるべきでしょう。自粛を求めるだけというのはおかしい。今の政府のやり方に従って我慢しても店がつぶれるだけです。そもそも人の流れを抑制したいなら、なぜ東京五輪を強行開催するんですか?世界中の人が集まるからよほど感染リスクが高い。政府が本気でコロナを封じ込めたいのか疑問ですね」

 3度目の緊急事態宣言が延期となり、店の経営状況は限界を迎えているという。午後8時までの時短営業でお酒も提供できない。

「東京都から協力金は出ますが、家賃、食材費、人件費で借金は膨らむばかりです。休業も考えましたが、お世話になっている取引業者や店の従業員の生活もある。でもこれ以上、時短営業が続くと本当に厳しい。資金繰りの当てもないので店をたたむことも考えなければいけないです」

 店主は頭を抱える。周りの飲食店も状況は同じだ。近くの店は午後8時以降も営業し、個室で酒を出しているという噂が流れた。店主は責める気にはならないという。

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なぜ、五輪強行するの?