4月25日のヤクルト戦(神宮)では、好調なベテラン大島が背中の張りでスタメンを外れ、9年目27歳の武田健吾が出場。30日の巨人戦(東京ドーム)も、3年目24歳の滝野要が起用された。そして同日は不調の阿部もスタメンを外れ、4年目21歳の高松渡が1番二塁でスタメン出場。今後はこのように若手起用が増えそうな気配もある。

「名古屋のファンは熱烈で、勝利への執着心も並ではない。結果が出ている時は徹底的に褒めちぎるが、結果が出ないと批判もすごい。ここ数年はチーム状態が良くない時期だったこともあり、与田監督への批判が渦巻いた。しかし昨年、久しぶりのAクラスで期待値も上がっている。中堅、ベテランが仕事をすれば、若手も使いやすく、勝利と育成の両立もできる」(在京スポーツ新聞デスク)

 5月4日のDeNA戦(バンテリン)では根尾にプロ入り第1号となる満塁弾も飛び出した。石川、滝野、高松以外にも3年目20歳の石橋康太(捕手)、5年目22歳の石垣雅海(内野手)、2年目19歳の岡林勇希(外野手)など期待の若手が目白押し。勝ちながら若手を一軍の実戦で起用するためにも、経験豊富な選手が結果を出して軸となる必要がある。出場した若手が結果を出せなくても、チームが勝っていれば我慢して使い続けられる状況になる。

 若手を育てるのは理想だが、やはり限度がある。プロなのでお金を払ってくれるファンに対して、それ相応のプレーを見せる必要がある。「若手を起用して全部負けました」では話にならない。勝利と育成はいつの時代も頭を悩ます問題。中日は今が踏ん張りどころである。