「ビシエドは安定感があるので、勝負を避けられることも多い。前後を打つ打者が不調なので、つながらなくなる。思い切って若手に切り替えるのも手だが、時期尚早という反対意見も多い。与田剛監督にとっては頭の痛い問題。バランス良く、打線の調子が上向けば良いのですが」(中日関係者)

 平田だけではなく、“新ミスタードラゴンズ”高橋の踏ん張りも期待したい。クリーンナップを任され、ビシエドの前後を打つ機会が多い。昨年は初の3割(.305)を記録、2年連続でゴールデングラブ賞も獲得した。先輩・立浪和義の『背番号3』を背負うキャプテンの打撃はチーム浮上に欠かせない要素だ。

「高橋は入団時から期待され、ようやくレギュラーを掴み取った。27歳と1番アブラが乗る年齢だが、苦労している。打撃は波の少ない中距離タイプで長打が出ないのはわかるが、確率が悪過ぎる。三塁手は打たなければ使われないポジションだけに、奮起が期待される」(中日担当記者)

 平田と同年代にあたる阿部と福田のパフォーマンスも、チームの今後に影響を与えるだろう。

「ベテランの領域に足を踏み入れただけで、衰えるには早過ぎる。身体にガタも出始める時期だろうが、もう1度鍛え直して欲しい。能力の高い若手は多いが、3人(平田、阿部、福田)に比べると現時点での実力や経験値で差がある。スムーズに世代交代をするためにも、30代選手の踏ん張りが必要です」(中日担当記者)

 13年から19年にかけて7年連続Bクラスとなった時期に試合出場を重ねたのが、現在の主力とも言える。それ以前、落合監督が率いた黄金期には、不動のラインナップで勝ちを重ねた。捕手の谷繁元信、二遊間の井端弘和、荒木雅博というセンターラインを軸に、福留孝介、和田一浩、森野将彦などの強打者もいて、外国人助っ人も活躍した。主力選手が引退間際まで試合に出場したため、世代交代が遅れてしまった感もあった。

「今の30代の選手たちが、今の高橋の年齢くらいの時に低迷期だった。その後、京田陽太という球界きっての遊撃手が加入し、根尾昂や石川昂弥など、能力ある若手が入団してきた。昨年は3位に入り、優勝も狙える位置まで上がってきた。ベテラン、中堅、若手が融合すれば、勝ちながら世代交代も可能。復帰した福留孝介が代打の切り札に置けるようになれば最高ですけどね」(在京スポーツ新聞デスク)

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勝利と育成の両立はできるのか…