アンケート(医療者向け情報サイトを運営するエムスリーとの共同調査。開業医734人が回答)で開業医に「患者を大学病院などに紹介する際、『こんな病院は紹介したくない』と思うのはどんな病院ですか」と聞くと、「返信がない」「対応が遅い」などの声が目立った。こうしたケースでは、「施設の人員不足などが理由であることもある」と入江医師は言う。また、「すぐ断る」ことも多く挙げられた。

「検査不足などの理由で治療の必要性を判断できなかったり、より専門性の高い医師が診ると治療は不要だったりする場合がある。ただし、そうであっても、できる検査や治療をし、あるいは患者と相談したうえで、治療をした、しなかった経緯も含めた返信をするのがいい病院ではないでしょうか」(入江医師)

 ほかにも「以前紹介したときに印象が良くなかった」「紹介した患者からの評判が悪い」「事務と医師の連携がとれていない」などの回答がみられた。

 病院同士のやりとりにおいても、重要なのは人と人との「コミュニケーション力」。直接顔を合わせないからこそ互いに相手を尊重し、患者がより良い治療を受けるために意思疎通を図ろうと努めることが大事になる。

■開業医が思う「こんな病院には紹介したくない!」(アンケートへの回答を一部抜粋)

・医師が威張っている(糖尿病科、首都圏)
・データだけみて患者を診てくれないところ(呼吸器内科、首都圏)
・上から目線(消化器科、九州)
・患者に寄り添わない(救急医療科、首都圏)
・紹介状の返事に詳しい治療経過を書いてくれない(一般内科、中部北陸)
・予約待ちが3カ月以上ある(整形外科、北海道東北)
・専門性がない(眼科、中部北陸)
・研修制度が不十分(一般内科、北海道東北)
・情報を公開しない(一般外科、九州)
・医師が常に単独で治療方針を決めてしまう病院(消化器外科、近畿)
・専門特化しすぎて連携がよくない(一般内科、近畿)

(文/出村真理子)

※『手術数でわかる いい病院2021』より