写真はイメージ(GettyImages)
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 手術が必要になるような病気にかかったとき、病院探しに困るのはよくある話。そんなときは開業医の情報が頼りになる。開業医は、自分の患者をほかの医療機関に「紹介」するケースが少なくないからだ。その反対に「こんなところには紹介したくない」という病院の情報を知っていることも。現在発売中の『手術数でわかる いい病院2021』(朝日新聞出版)から抜粋する。

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 かかりつけ医は、自らの患者が専門性の高い検査や治療が必要と考えたとき、ほかの医療機関を紹介する。患者にとっての「いい病院」はどこかを見極めたうえで、紹介先を選ばなければならない。2016年にクリニックを開業し、月5人前後の患者を他院に紹介している、アイレディースクリニック新横浜院長の入江琢也医師はこう話す。

「病院を選ぶ際は、患者さんに必要な検査や治療が受けられる専門性の高い病院であることがもちろん重要です。さらに、可能なかぎり患者さんの希望を尊重してくれる病院かどうか、患者さんとコミュニケーションをとれる医師かどうか、ということも考えます」

 入江医師自身は、出身大学や勤務経験のある病院などで関わりのある医師を指名して紹介することが多いという。技術だけでなく人柄もよく知っているため、患者との相性も考慮できるからだ。そのほか、患者の評判や学会で交流のある医師も病院選びの参考にする。

■医師の人柄は紹介状からわかる

 さらに、面識のない医師の人柄は「紹介状」の返信から見て取れるという。

 患者を別の病院に紹介するときに必要になる「紹介状」は正式名称を「診療情報提供書」といい、患者の基本的な情報(生活背景や既往歴等)、紹介の目的、病状と治療経過、検査結果、投薬の状況などが記入される。

「近くの病院の医師でも、直接話す機会はあまりありません。紹介状の返信は医師によってさまざま。どういう手術をして経過はどうなっているのかなど、細かく丁寧に書かれているものもあれば、結果だけの場合もあります。返信が丁寧な医師は治療や患者さんとのコミュニケーションも丁寧だろう、と信頼できます。次回から指名で紹介することも少なくありません」

 紹介状のやりとりで見えてくる病院の姿もあるということだ。

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開業医から寄せられた「紹介したくない病院」