兵庫県の井戸敏三知事(C)朝日新聞社
兵庫県の井戸敏三知事(C)朝日新聞社

 緊急事態宣言が5月末まで延長されることが決まった兵庫県。神戸市内にある専門学校で新型コロナウイルスの新規感染者が約30人に上り、クラスター化しているにも関わらず、学校側が一切、公表していないことが、AERAdot.編集部の調べでわかった。厚生労働省では「5人程度の発生」がクラスターの目安としている。

「クラスター発生だと思います。しかし学校側はそれを認めないので
先生や学生が困っている」(学校関係者)

 情報提供があり、本誌が取材したところ、現在までこのA専門学校でクラスター発生というアナウンスはされていない。A専門学校は今年の入学式の資料によれば1年生から4年生まで合計約550人の学生が在籍し、ベトナムなど海外留学生が大半だという。

 新規感染者がはじめて発覚したのは4月16日朝の会議だったという。ある外国人留学生が陽性で、その3日後にA専門学校の職員が感染した。さらに別の先生が、体調が芳しくなく体温を測ったところ発熱を確認し、早退した。前出の学校関係者はこう証言する。

「会議で学校の責任者から『コロナで陽性となった先生のクラスの学生にはこのことは話すな』と指示されました。先生が感染していれば、学生も濃厚接触者となる可能性がある。すぐに調べなきゃいけないはず。A専門学校では、4月7日に神戸市内のホールで入学式を開催しましたが、かなりの三密だったので影響していたのかもしれない」

 見せてくれた入学式の座席表はギッシリと着席するものになっていた。
さらに4月21日頃になって、19日に発熱し、早退した先生の陽性が判明した。その後、学生には「兵庫県で新型コロナウイルスが感染拡大」という理由で、帰宅させオンライン授業に切り替えた。

「本当の理由は兵庫県の感染拡大というより2人もの先生がコロナ感染したからなのですがね」(前出・学校関係者)

 さらにA専門学校の学生に取材すると、こう証言した。

「先生がコロナ感染したとゴールデンウイーク中くらいに聞いた。それまで兵庫県がコロナで緊急事態宣言だというので、オンライン授業になったと思っていた」

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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