■「少ない=安全」ではない

 地震が増えていないからといって、安全ということはない。例えば、沖縄県は今回のランキングには出てこないが、大地震のリスクが指摘されている。

 沖縄県の南東沖には琉球海溝があり、北西には沖縄トラフがある。江戸時代にはM7.4の八重山地震津波があり、住民約1万2千人が溺死したと言われる。1938年に宮古島北方沖で起きた地震では地震発生の約10分後、宮古島に高さ約1.5mの津波が押し寄せ、被害を生じさせている。

 県では最大でM9.0の地震が起きると想定。大きいもので30mを超える津波が襲来し、県面積の1割以上が浸水すると見ている。沖縄では海溝までの距離が近く、津波が到達するのも早い特徴がある。琉球大の中村衛教授(地震学)はこう語る。

「沖縄では長い間大きな地震がなく、『安全だろう』と思っている人も多いが、決してそんなことはない。直下型の大きな地震が起きることもありえる。地震が増えているから危ない、減っているから安全と言えるものではありません」

 地震はいつどこで起こるかわからない。折につけ大地震への備えを進めよう。(AERAdot.編集部・吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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