僕は当時、高校生。家でテレビを見ていたらニュース速報が流れてきて、腰を抜かしたことがあった。当時あまりにもスキャンダラスな事件だった。

 そこからもレースと同時に歌手活動は続けていた。いい曲というのは沢山ある。「夕焼けの歌」も本当にいい歌だし「アンダルシアに憧れて」を歌うマッチは大人味で格好いい。だけどセールス的にはすごく良かったわけではない。

 だが、96年、「ミッドナイト・シャッフル」が大ヒット。自身のシングル売り上げでも3位となる記録。これはすごい。デビューして16年たって大ヒット曲が出るんだから。ここでマッチは歌手として3度目のブレイクを果たすことになる。これってなかなかないんですよね。

 ちなみに僕は、マッチの名曲「ヨイショ」をリメイクした「ヨイショ!’02 ~日本の皆さんホメていきまショー」を作詞させていただいた。すごく光栄だったな。

 こう考えると、マッチはデビューしてから3度ブレイクしている。3度ブレイクする人ってなかなかいないですよね。

 今回、退所したニュースを聞いて、正直驚いたし、予想外のニュースではあった。一番「ジャニーズ」だったはずのマッチの退所。

 だが、これまでの人生の中で色々なことが起きながらも、忘れたころにホームランを打ってきたマッチ。

 なぜ辞めたのか?何があったのかなんてわかるはずもない。近しい人で怒ってる人はそれなりの理由もあるのだろう。

 何かミスをした人を「ゲームオーバー」な感じで仕上げるだけはなく、そういう人が再び立ち上がって戦う姿を僕は期待したい。

 4度目のブレイクをした時に、少なくとも、おじさん世代は、その姿に熱い勇気や希望をもらえるはずである。

 今は、ジャニーズを退所した人たちのさまざまな物語がある。まさかの「長男」と言われていた人の退所。いつかきっと「ギンギラギンでさりげない」物語を見せてくれるはずである。

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中。バブル期入社の50代の部長の悲哀を描く16コマ漫画「ティラノ部長」の原作を担当し、毎週金曜に自身のインスタグラムで公開中。YOASOBI「ハルカ」の原作「月王子」を書籍化したイラスト小説「ハルカと月の王子様」が好評発売中。

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鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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