署名活動団体の代表だった高須克弥(左)と事務局長だった田中孝博氏(C)朝日新聞社
署名活動団体の代表だった高須克弥(左)と事務局長だった田中孝博氏(C)朝日新聞社
4月25日の名古屋市長選で当選した河村たかし氏(C)朝日新聞社
4月25日の名古屋市長選で当選した河村たかし氏(C)朝日新聞社

 愛知県の大村秀章知事のリコール運動をめぐる偽造署名事件で、大きな進展があった。

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 これまで関与を否定してきた活動団体の事務局長だった田中孝博氏が一転し、名古屋市内の広告関連会社へ「署名集め」を依頼したことを認めたのだ。だが、田中氏は合法的な「署名集め」の業務を依頼したと主張。「偽造署名の作成」は否定している。

 その理由について田中氏は、リコール活動の代表だった高須クリニックの高須克弥院長が、SNSなどで「目標数に達する見込み」と発信していたことを上げ、「高須氏に恥をかかせるわけにいかなかった」などと説明しているという。

 これまで業者への発注自体を否定し、佐賀市での書き写しも知らないと関与を否認してきた田中氏。なぜ、前言を翻したのか。活動団体の代表だった高須氏が記者の取材に応じた。

「田中さんが私に恥をかかせられないという発言をしていると、報じられたことは知っています。ああ、そうかねというくらいしか、(感想は)ありませんね。偽造署名に私が関与することなどありません。田中さんは、私が任命した司令官です。信頼を置いている」

 4月25日に名古屋市選挙で勝利し、4選目を果たした河村たかし市長に対し、高須氏は自身のSNSで「河村市長は友達から外します」と発信。マスコミには「絶交します」とコメントした。これまで「盟友」とみられていた2人に何があったのか?

 高須氏に真意を尋ねた。

「リコールの話は河村さんから電話があって『リコールをしようと思う。手伝ってくれんかね』ということでした。私は『全力でお手伝いをします』とお答えした。しかし、リコールの記者発表をするので、会見場に行くと河村さんがいない。まわりに愛知県の人間がおらず、私が代表になりました。そして市長選がはじまると、わしゃ知らんがねという内容を河村さんがおっしゃった。逃げちゃった。そういう人とは、友達付き合いに値しないので、絶交です」

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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高須氏へ偽造署名問題を直撃