小林の課題の一つが打撃だ。プロ通算打率.217と確実性を欠いているが、国際舞台では別人のように打ちまくる。17年に開催されたWBCでは侍ジャパンの正捕手として全7試合にスタメンで出場し、20打数9安打で打率.450、1本塁打、6打点と大暴れ。持ち味の守備でも準決勝・アメリカ戦でアダム・ジョーンズの盗塁を阻止し、捕逸は0と抜群の安定感で投手陣をもり立てた。

 国際試合で小林とバッテリーを組んだ他球団の投手は、「本当に投げやすい。投手の良さをうまく引き出すし、盗塁を刺してくれるので走者を出しても神経を使わなくていい。打てなくても守ってくれる捕手がベストですよ」とたたえていた。

 捕手の物差しは能力だけでない。守備重視か、打撃重視か。指揮官が目指す野球の方向性によって扇の要を託す選手が変わってくる。国際試合は1点を防ぐ野球になり、守備を重視する傾向がある。小林は「国際試合向きの選手」と言えるだろう。ただ、ファーム暮らしが続くようでは侍ジャパンに選出することは厳しい。残された時間は多くない。ここから大逆転での選出はあるか――。(牧忠則)