2017年7月、和歌山県白浜町の海水浴場で水難事故を装い、妻の野田志帆さん(当時28)を溺死させたとしたとして和歌山県警は18年4月に夫の野田孝史被告(29)を逮捕。AERAdot.で既報のように3月に野田被告へ懲役19年の判決が言い渡された。

 和歌山地裁は野田被告が<シュノーケリング死亡事故><事故死 保険金><完全犯罪 海水浴>などの検索を繰り返していたことを、実刑判決の決め手の一つと認定していた。

 野崎さんの事件との共通点は、目撃者がいないこと、携帯電話の検索内容が犯行と酷似していることがあげられる。

「確かに野田被告の殺人事件は、須藤容疑者の逮捕の参考になった」(別の捜査関係者)

 逮捕前から「私は疑われているが、やってない、私は知らない」と一貫して容疑を否認していた須藤容疑者。野崎さんの会社の元従業員はこう証言する。

「やってないと言いつつ(野崎)社長の預金がいくらあるかとか、所有する貴金属類はいくらで売れるかなど、怪しい言動もあった。須藤容疑者がやったのかと思いつつ、社長に覚せい剤を盛って殺したら、そんな話を人前でできないのではないかとも思った。須藤容疑者はどこか抜けた感じがあった。AVに出演していたことも社内でみんな知っていた。須藤容疑者が逮捕されて、やっぱりあの女の仕業と思う反面、本当に一人で考えて犯行に及んだのかとも疑問を感じます。誰かに入れ知恵されたのではないでしょうか」

 だが、和歌山県警は今のところ、須藤容疑者の単独犯で協力者はいないとしている。

 須藤容疑者は怪死事件後、野崎さんが経営していた2つの会社の社長に就任し、会社の口座から約3800万円を現金で引き出していた。この件で昨年6月、野崎さんの会社の元監査役が須藤容疑者を詐欺容疑で刑事告発していたことも新たにわかった。

 覚せい剤の入手ルート、携帯電話の履歴の捜査、野崎さんの会社資金の流用問題と外堀が確実に埋められつつある須藤容疑者。

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野崎さんが保有していた3つの株