中島翔哉はかつての輝きを取り戻せるか (c)朝日新聞社
中島翔哉はかつての輝きを取り戻せるか (c)朝日新聞社

 最近の欧州サッカー界はスーパーリーグ一色であったが、各国リーグ戦はいよいよ大詰め。異例の日程で行われている2020-21シーズンは波乱が相次ぎ、優勝争い、チャンピオンズリーグ出場権争い、そして残留争いはし烈を極めている。長いシーズンの中で、今が最も面白いことは間違いない。

 そんな欧州リーグ戦の中で、鎌田大地や長谷部誠(ともにフランクフルト)、遠藤航(シュトゥットガルト)のドイツ勢、伊東純也(ヘンク)や鈴木優磨(シント=トロイデン)など、日本人選手の躍動も目立っている。その一方で、様々な事情から苦しい状況に追い込まれ、なかなかスポットの当たらない選手も多い。今回は、苦しいシーズンを送りなかなか話題に上らない日本人選手の現状を紹介する。

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■武藤嘉紀(エイバル)

 自身の夢であったプレミアリーグ挑戦は道半ばで終わり、再起をかけて今季ラ・リーガのエイバルへのレンタル移籍を決断した武藤。本人も「異なるリーグへの挑戦はどうしても難しい」と語ったように序盤戦は苦労していたが、昨年末からようやく得点に絡むようになり、今年1月の公式戦7試合では2ゴール2アシストをマーク。初挑戦のスペインの地で、ようやく本領を発揮し始めていた。

 しかし勢いは続かず、チームの絶不調の影響も受けて出番が減少。3月からは足首のケガで戦列を離れ、シーズン終盤の必要な時期に6試合も欠場してしまった。先日のラ・リーガ第32節で復帰し、持ち前のハードワークで存在感を放ったものの、やはり失った時間が長すぎる。

 エイバルはリーグ戦16試合勝利から見放される状況に陥り、5月1日にようやく17試合ぶりの勝利を挙げたが、残留は絶望的で「奇跡」が必要な状況だ。スペイン2部のEU圏外枠は1部の「3」とは異なり「2」に減少する。そのため、これまでの成績であればエイバルへの完全移籍はないだろう(これに関してはチームメイトの乾貴士の去就にも大きく影響する)。一方イギリスの報道では、所属元ニューカッスルも現行契約が今夏で1年になる武藤を引き留める気はないとされている。残された試合数は「4」。武藤にとっては、来季の所属先を決める意味で絶対的に結果が必要な“トライアル”となりそうだ。

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宮市、中島らの現状は…