新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が4都府県に出されている中、大型連休(GW)が始まった。飲食店には酒類提供の自粛が要請されているが、都内の繁華街を歩くと、堂々と酒を出している店も目立つ。店内は酔客でまさに「密」だった。

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 29日の午後5時前。雨が降る中、東京・上野の居酒屋や立ち飲み屋が並ぶ一帯を訪れた。コロナ前は外国人の観光客も多かった人気のスポットだが、3度目の緊急事態宣言を受け、休業している店も目立つ。ただ、数軒の居酒屋は営業し、すでに満席状態で、次々に来店する客をお断りしていた。若者のグループやカップルが目立つが、中年の男女のグループや一人飲みの男性もいる。酔客の声はひときわ大きく、会話の内容が路上まで聞こえてくる。

「俺、お前と結婚してやるよ!」
「はぁー!あんた何言ってんの。うざい、うざい!」
「こいつばかじゃん、頭狂った!」

 泥酔した若い男女4人はすでにでき上がっているようだ。本気のプロポーズだったかは定かでない。

 周辺を歩くと、酒を提供している居酒屋がいくつかあり、どこも満席だ。

「飲んでよし」

 そんな貼り紙を出している居酒屋もある。ある店の店員は、「昼からずっと混んでます。〇〇さん(休業した人気の居酒屋)とか結構閉める店が増えたので、こっちに流れてきたのもあるかもしれないですね」と言いつつこうこぼした。

「店を閉めて生きていけるなら閉めますよ。うちは従業員の数を考えても協力金じゃやっていけないので申請もしていません。したとしても、なかなか支払われないから、愚痴ってる店は多いですよ」

 さらに、JR秋葉原駅界隈に足を延ばすと、メイド姿の女の子たちが何十人も目に飛び込んでくる。間隔を取りつつも歩道にずらりと並んで、男性たちを店に勧誘している。ある女の子に話しかけると「うちはカフェなのでお酒はないんです」

 その近くの、酒を提供して営業している居酒屋はすでに満席だった。入店を断られた若いカップルは、「系列(の店)がやってるって教えてもらったので、そっちで飲みます」

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「感染リスク 自己責任」と署名させる店も