津波避難用のシェルター「ライフアーマーNEO」(提供)
津波避難用のシェルター「ライフアーマーNEO」(提供)
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 地震が各地で多くなっている。南海トラフ大地震もいつ起こってもおかしくないような状況だ。大きな揺れも怖いが、津波も大きな脅威のひとつ。そんな中、漫画『ドラゴンボール』に出てくるサイヤ人の宇宙船に似た津波避難用シェルターが国内外で注目を集めているという。

【写真】まるで宇宙船?避難用シェルターはこちら

「これで津波での死者を減らすことができれば」

 こう話すのは強化繊維プラスチックの製品開発を行っている「ポンド」(大分県)専務の池島成信さん。「これ」とは、同社が2012年に開発した津波避難用のシェルター「ライフアーマーNEO」だ(写真)。津波の危険性があれば安全な場所まで避難するのが一番だが、どうしてもすぐに避難できない場合もある。そんなときのための津波避難シェルターだ。いったいどのような製品なのか。ポンドの「ライフアーマーNEO」について、池島さんに聞いてみた。

 シェルターはボール型で、直径120センチの大きさ。身長170センチ、体重60キロ程度の人が4人乗れる。津波にのまれてもプカプカと浮かぶことができるという。価格は49万8千円(税込み)。『ドラゴンボール』に出てきたサイヤ人の宇宙船にとても似ているが、その外観について、池島さんは「男のロマン的なものがあった」という。
 
 耐久性・安全性も高い。圧力テストでは8tの重さに耐えたという。地上25m(ビル8階相当)からの水面落下テストでも無傷だった。大人4人、約300キロが乗っても、シェルターの半分以上が水上に出るほどの浮力がある。実際にどのような感じで、浮くのか動画を見せてもらった。緩やかな流れに身を任せながら、プカプカと浮いている。確かに津波から命を守ることもできるかもしれない。

 しかし、プカプカと浮かぶだけで本当に助かるのだろうか。

「自分で移動することはできません。沖に行ったら、救助をお願いする必要がある。材質上、電波は通すのでGPSを設置しておくことをお勧めしています。色が派手なのは、海の中でも目立つようにしているためです」

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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