「先発は登板した後、次に投げるのが5、6日後になる。この空いた期間に投球フォームのこととかいろいろ考えてしまう。僕もそうでしたが、コントロールが良くない投手が試合序盤に死球が多いのは指にボールがなじむ感覚をつかむまで時間がかかるからです。でも救援は違います。毎日のように登板するので、投球フォームのことを考える暇がない。悩んでいても次の登板がすぐに来るので、失敗しても気持ちを切り替えて腕を振り続けるしかない。コントロールを気にする暇もなく、力強い球をストライクゾーンに投げることしか頭になかったですね。救援投手は勝負所で出てくるのでコントロールが良いイメージが多いと思いますが、実はそうでもない。四球を出していないだけで荒れ球の投手が多い。藤浪投手も時間があるとフォームのことを考えてしまうと思います。毎日のように登板する救援の方が絶対に向いている」

 阪神の投手事情を考えても、右のセットアッパーに藤浪が入れば大きな戦力になる。先発は西勇輝、青柳晃洋、秋山拓巳、伊藤将司、ガンケルなど頭数がそろっているが、守護神・スアレスにつなぐ救援陣は心許ない。左腕の岩崎優、岩貞祐太が開幕から稼働しているが、右投手で計算できるのは小林慶祐のみ。藤浪が入れば戦力に厚みが増す。

 阪神のエースを嘱望された右腕も27歳。救援でその才能を最大限に発揮できるなら、検討の価値は十分にあるだろう。(牧忠則)