高校時代は河村とのマッチアップでも注目を集めた米須は、強豪・川崎の中ではなかなか出場機会が与えられずにいるが、そのパスセンスは川崎のメンバーたちからも高評価を受けており、将来のスター候補であることは間違いない。4月から日本大学に進んだが、来季も特別指定選手としてプロの舞台でプレーすることは確実で、今後の活躍から目が離せないだろう。

 もう一人が、福岡第一高校で河村の後輩に当たるハーパージャンジュニアだ。琉球ゴールデンキングスに加入すると、2月6日のレバンガ北海道戦で初出場を果たし、リーグ最年少出場記録と最年少得点記録を更新(17歳11カ月28日)。4月からは東海大に進み、再び河村とプレーすることになっており、こちらも将来が楽しみな存在だ。

 特別指定選手は、Jリーグのシステムを踏襲したものだが、上述した通り、選手にとってはプロ入り前に自分のバスケの「現在地」を知る上で非常に効果的な制度だ。さらにチームからお呼びがかかれば高校、大学在学中は毎年、違うチームでプレーすることも可能。各チームのそれぞれ異なる環境に触れることができるし、様々な指導者の元でプレーすることもメリットとなるだろう。

 選手サイドから見れば、これは毎シーズン参加できる「長期トライアウト」状態。一方チーム側も、選手獲得の際に、リーグで実際にプロとプレーしている姿を参考にすることができる利点もある。特別指定選手制度は、プロの中で戦う次世代スターを見られるというファンの楽しみを提供するだけでなく、選手、チームにとってもWinWinになれる施策と言えるのだ。(文/田村一人)