周囲からのラブコールで、広島への思いやモチベーションが再燃した。気分屋の男が燃えないはずはない。そしてプレーで結果を残さなければならない理由がもう1つ生じた。昨シーズン開幕前、プライベートでの女性問題が裁判沙汰にまで発展していることが明らかになったからだ。コンプライアンス重視の時代、野球ファン以外からも大きなバッシングを浴びた。

「問題は結婚直後に発覚した。詳細はわからないが、菊地にもワキの甘さがあったのは間違いない。高額で長期契約を交わした年もチームは優勝を逃した。捲土重来を誓った矢先での出来事だけに、周囲の反感を買うのは当然。球団からもかなり言われたらしい」(在京テレビ局スポーツ担当)

「コロナ禍で開幕が遅れたこともあり、考える時間も多かった。自分が良い生活をできるのはプロで結果を残しているから、と悟ったらしい。またいろいろ言う奴は結果で黙らせる、と開き直った。その結果がとんでもない集中力を発揮、シーズン無失策を生んだというのは、あながち間違っていない」(アマチュア時代から菊地を知るスポーツライター)

 歴史に残る守備記録を残しても、チームは2年連続Bクラスに沈んだ。新型コロナウイルスの影響があるということを差し引いても、一時期のブームが嘘のように、広島周辺は静かになった。悔しさを味わい、守備だけではなく走攻守すべてでチームをけん引して優勝する思いを強めた。それが今年の好調にもつながっている。

 広島への思いと感謝。起こしてしまったトラブルへの禊。多くのモノを背負った菊池は、さらに突き抜けた選手になりそうだ。