茨城県立水戸第一高校(写真/同校提供)
茨城県立水戸第一高校(写真/同校提供)

 昨今、学校の校則のあり方が問われている。

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 下着の色を指定したり、地毛証明書を提出させたり、ツーブロックの髪型を禁じたりなど、人権上問題があると指摘されることがある。こうした校則には、生徒の管理を厳しくしようという学校の姿勢がよく示されている。

 一方、校則がきわめて緩い学校、校則がないに等しい学校がある。これらをもっとも象徴しているのが、制服自由、私服登校が認められていることである。

 近著『学校制服とは何か』(朝日新書)では、制服着用を義務づけしておらず、私服通学ができる学校を掲載している。このうち、札幌南、秋田、水戸一、長岡、長野、松本深志といった地方名門公立高校を紹介しよう(以下、同書より抜粋。校長、教頭などの肩書きは2020年10月現在)。

北海道札幌南高校

 前身は1895年設立の旧制札幌第一中学である。道内最古の学校だ。廣田定憲校長が次のように話す。

「在校生、そして、わが校を受験する中学生からすれば、制服が自由はあたりまえになっており、制服はイメージできないでしょう。実際、自由な校風を求めて入学する生徒はたくさんいます。札南の理念は『堅忍不抜』です。自主自律の精神が今日まで引き継がれてきました。その象徴として制服の自由があると思います」

 だからといって、制服が自由であることを学校は前面に打ち出しているわけではない。きわめて自然体である。

「服装の乱れは心の乱れ、という話を聞きます。でも、そんな話をしなくてもしっかりできる学校という誇りをみんな持っています。保護者、教員、生徒から制服を求める声はいっさいありません。それは道内伝統校の誇りだと思います」

◆秋田県立秋田高校

 前身は1882年設立の旧制秋田中学、県内でもっとも古い学校である。

 秋田県立秋田高校は制服の自由化について、「着装の自由」と呼んでいる。これは1971年に学校と生徒会が話し合って制服廃止を決めたときに用いられた表現だ。同校の渡部克宏校長をたずねた。自身も1980年に秋田高校を卒業している。

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