日本ハム西武以上に苦しいスタートとなったのがセ・リーグ最下位のDeNAだが、大きな誤算となっているのが12球団ダントツワーストの防御率4.83を記録している投手陣だ。開幕投手の浜口遥大が5試合に先発していまだ勝ち星なし。4月22日の中日戦では6回を投げて無失点と試合は作ったものの、6四球を与えており、投げてみないとどうなるか分からないという投球は続いている。

 3年目の上茶谷大河も4試合に先発して0勝3敗。4月1日のヤクルト戦では2回5失点、4月24日の阪神戦では1回6失点と先発としての役割を全く果たすことができなかった。リリーフでは勝ちパターンの1人である石田健大が開幕から4試合連続で失点。4月16日以降は5試合連続で無失点と持ち直してきたのは明るい材料だが、勝てる試合を勝ち切れなかった大きな原因となっている。山崎康晃が昨年の不振から立ち直り、抑えの三嶋一輝も安定しているが、とにかくこの2人に繋ぐ形に持ち込めていないのが大きな課題と言える。5月以降の巻き返しに向けて、投手出身の三浦大輔新監督がどのように投手陣を立て直していくかに注目したい。

 上位チームにも誤算となっている選手は存在している。セ・リーグ3連覇を狙う巨人で気になるのが不動のセンターとして連覇に貢献した丸佳浩だ。開幕戦ではツーベースを放ったが、その後は4試合連続でノーヒット。4月4日に新型コロナウイルスの陽性判定を受けて登録抹消となったが、その時点での打率は.087という低いものだった。4月23日に一軍に復帰してからは3試合連続でヒットを放っているが、まだまだ本調子からは程遠い印象を受ける。

 持ち味である選球眼の良さで四球を多く選び、出塁率(.349)に関してはさすがという数字を残しているが、いまだにホームラン0本というのも気がかりだ。昨年も開幕直後は不振に苦しみながらも徐々に調子を上げて27本塁打、77打点という数字を残したのは立派だが、年々少しずつ成績が落ちてきていることは確かだ。32歳と中堅からベテランに差し掛かる年齢になっているだけに、今後の野球人生を考えると今シーズンが大きなターニングポイントとなる可能性は高そうだ。

 今回取り上げた選手はこれまでの実績は申し分なく、低迷したままシーズンを終えることは考えづらいが、一度定位置を失うと奪い返すのが難しいこともまた事実である。中堅、ベテランの選手も多いだけに、ここからの巻き返しに期待したいところだ。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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