首位を走る阪神で安定した投球を見せているガンケル(代表撮影)
首位を走る阪神で安定した投球を見せているガンケル(代表撮影)

 開幕から約1カ月が経過したプロ野球のペナントレース。シーズン前の計算通りに進むことはまずないが、逆にそれほど期待していなかった選手が突如としてチームの救世主となるケースも少なくない。今回はこの1カ月でそんな嬉しい誤算とも言える活躍を見せている選手をピックアップしてみたいと思う。(※文中の今季成績は全て4月25日終了時点のもの)

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 セ・リーグで首位を快走する阪神の嬉しい誤算といえば、来日2年目となるガンケルになるだろう。昨年は主に中継ぎでの起用が多く、28試合に登板(うち先発は6試合)して2勝4敗と目立った成績を残していない。今年も新外国人のアルカンタラの来日が遅れていなければ、二軍スタートだった可能性が高いだろう。しかしオープン戦から好調を維持して開幕ローテーション入りを果たすと、いきなり4連勝をマーク。防御率はリーグ4位の1.78という好成績を残している。

 外国人投手にしては圧倒的なスピードがあるわけではないが、小さい変化だけでなく比較的大きな変化球を上手く操ることができるというのが大きな長所。日本の打者の特徴にも慣れてきたように見える。4月25日のDeNA戦では5試合目の先発で初めて白星は逃したものの、6回途中まで投げて3失点とまずまずの内容だった。コントロールが安定しており、自滅するタイプではないため、今後も貴重な先発の一角として期待できそうだ。

 その阪神を追う巨人では3年目の高橋優貴が大きな戦力となっている。オープン戦では四球と球数の多さから一度は二軍降格となったものの、開幕直前にイースタンリーグで好投を見せて滑り込みでローテーション入り。最初の登板で結果を残せなければ再び降格の可能性もあったが、中日を相手に7回1失点(自責点0)の好投でシーズン初勝利をマークすると、ここまで4戦4勝、防御率はリーグトップの1.29と上々の滑り出しを見せている。

 四球の数は相変わらず少なくはないが、以前よりも走者を出してから粘り強く投げられるようになったのは大きな成長である。また一本調子になって痛打されることが減り、緩急を上手く使って打たせてとる巧さも出てきた。年齢を考えるともう少し若々しさがあっても良いのかもしれないが、まずは結果が出ているということは何よりも大きなプラスである。この調子を維持することができれば初の二桁勝利も視界に入ってくるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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