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韓国慰安婦訴訟の2判決の結論が正反対 裁判を拒否した日本

北野隆一dot.
原告敗訴の第2訴訟判決後、取材に答える原告の元慰安婦、李容洙さん=2021年4月21日、ソウル(C)朝日新聞社

原告敗訴の第2訴訟判決後、取材に答える原告の元慰安婦、李容洙さん=2021年4月21日、ソウル(C)朝日新聞社

原告勝訴の第1次訴訟判決後、取材に答える原告の弁護士=2021年1月8日、ソウル(C)朝日新聞社

原告勝訴の第1次訴訟判決後、取材に答える原告の弁護士=2021年1月8日、ソウル(C)朝日新聞社

 戦時中に日本軍の慰安婦をさせられた韓国人女性らが日本政府を相手取り損害賠償を求めた訴訟で、ソウル中央地裁が対照的な内容の二つの判決を下した。4月21日の判決が原告の請求を却下した一方、同じ地裁の別の裁判部による1月の判決では請求を認め、日本政府に対して元慰安婦への賠償を命じた内容が確定している。なぜ判決の結論は分かれたのか。
『朝日新聞の慰安婦報道と裁判』(朝日選書)の著作がある朝日新聞編集委員・北野隆一氏が、韓国の二つの判決を読み解いた。

【図】「日本には負けられない」アンケートで明らかになった韓国の本音

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 元慰安婦らが日本政府を相手取りソウル中央地裁に提訴した裁判は二つある。1月に原告勝訴判決が確定したのが第1次訴訟、4月に原告敗訴判決が出たのが第2次訴訟と呼ばれている。二つの判決で結論が正反対となったことは、韓国社会における慰安婦問題をめぐる意見の対立が司法に反映されたことの表れともいえる。しかし同時に、日本への賠償請求を否定した第2次訴訟判決でも、戦時中に女性らを慰安婦とした日本の行為を「国際人権法違反の深刻な人権侵害」と認めるくだりがあるなど、原告の主張をまったく切り捨てた内容とは言い切れない点も注目される。

 第1次訴訟のきっかけは、1965年に結ばれた日韓請求権協定についての日韓両政府の交渉過程を記録した文書を、韓国政府が2005年に「全面公開」したことだった。慰安婦問題が日韓交渉で話題とされず、請求権協定で「完全かつ最終的に解決した」とされる対象に含まれていなかったとして、元慰安婦らから補償を求める声が上がった。韓国政府が日本に外交交渉を働きかけなかったことについて、韓国の憲法裁判所が2011年、「韓国政府の不作為は違憲」と決定。元慰安婦らは2013年に日本への調停を申し立てたが、日本政府が応じず、不調に終わったことから、2016年1月に訴訟に発展していたものだ。

 原告は12人で、うち生存者は李玉善さんら4人。李さんら元慰安婦が暮らす福祉施設「ナヌムの家」が支援している。


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