知事の中で次いで低いのは、4位の北海道・鈴木直道知事で、約2285万円。本来もらえる約3265万円から30%減額している。給与月額、ボーナスも同様に30%カット。19年4月に就任して以来で、行財政改革を進めるために知事が先頭を切った。

 5位は島根県・丸山達也知事で、約2646万円。本来もらえる約2940万円から10%カットしている。こちらも給与月額とボーナスを10%カットしており、19年4月に就任して以来、減額している。

 19位の富山県・新田八朗知事は今年4月、退職金4056万円を18%カットして、3307万2千円にした。新型コロナウイルスで経済情勢が厳しくなる中での対応だ。県担当者は「金額としては思い切っている」と言う。

 対応に注目が集まる知事もいる。山形県の吉村美栄子知事は今年1月から4期目に入ったが、これまで3期とも、退職金の受け取りを辞退している。

 吉村知事は09年に「退職金廃止」の公約を掲げ、初当選。1期目は退職金を辞退した。2期目は一転して受け取りの意向を示したが、その後、批判が集まり再度受け取りを辞退。3期目も同様に受け取らなかった。今年3月に行われた県議会で4期目の退職金をどうするか問われた吉村知事は「現時点ではまだそこまで考えが及んでいない」などと答弁。立場をまだ明らかにしていない。

 そもそも知事の適切な退職金とはいったいいくらなのだろうか。政治ジャーナリストの角谷浩一さんはこう語る。

「コロナ禍ではメディアにたくさん出ることで『やっている感』を出している知事もいる。今やらないといけないことに取り組んでいるか。将来につながる布石を残したかなど、しっかりと見る必要がある。その上で、給与月額やボーナスも含め、各地域で決めていくべきでしょう」

 自分たちの知事は、退職金や給与に見合った取り組みをしているのか。改めてよく見てみてほしい。

(文/AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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