受験に対して前のめりな2人。その一方、「東大は雲の上。まったく届かなかった」と振り返るのは、お笑いタレントの坂本ちゃん(55)だ。

 受験勉強に励んだのは約21年前。かつて放送された「電波少年」シリーズ第2作『進ぬ!電波少年』(日本テレビ系)の企画で、2000年に東大受験に挑戦。日光江戸村の一室に幽閉され、約8カ月間、毎日10時間以上勉強漬けの日々を送った。

「部屋に閉じ込められ、外の情報を一切シャットアウトされるような徹底ぶりでした。今のステイホームよりも、さらにきつい。今思えば誘惑もありませんし、集中できてすてきな環境でしたね。私はドMでしたから……(笑)」

 そんな坂本ちゃんの行く手を阻んだのは、やはり数学だ。

「学生時代から数学が駄目で、受験勉強が始まった時は、小学校の算数のレベルでした。引き算も、15-7を、指を使って解いていました。頭の中が理数系の頭じゃないんでしょうね、いくら教わってもダメだった。最後の最後まで、数学が足を引っ張って駄目でしたね。途中で東大の過去の数学の問題をみせてもらったんですが、分からなすぎて、別世界のものみたいでした。半年ではとても無理でしたね」

 本番の緊張感にも打ち勝てず、結局、数学IAは30点、IIBは43点。英語も本番ではボロボロで、86点しか取れなかった。

「足きりもいいところの、最低な点数でした。夏からずっと部屋に隔離されていたので、半年ぶりに外に出て受験会場で大勢の人を見たときに、雰囲気にのまれてしまった。とてつもない緊張感で、頭の中も真っ白。とても解ける状況ではなくて、時間ばかりが過ぎていったのを覚えています」

 坂本ちゃんは高校時代の受験で“全落ち”し、進学を諦めた過去がある。大学に対する憧れにも似たコンプレックスを抱き続けてきたわけだが、東大に対しては、別の思い入れがあった。

「上京したばかりの32歳のころ、東大の生協でアルバイトをしていました。三四郎池や、歴史ある建物……独特な世界観のある学校で、散策しているだけでうっとりしちゃって。今も時々自転車で行ったりしていますが、いつも私にとってはスペシャルな場所。いまだに憧れちゃいますね」

 受験自体は挫折に終わった形だが、無駄にはならなかったという。

「知識が増えていくのは楽しかった。あの受験がきっかけで、私の人生が変わりました。挫折も含めて、パズルのように人生がつながっていったんです。受験に感謝。東大に感謝です!」

“東大の壁”に阻まれた3人だが、共通して口にしたのは「勉強は楽しかった」という言葉だ。近い将来、彼らの中から合格者が出る日が来るかもしれない。

(取材・文=AERA dot.編集部・飯塚大和)